もとのその一

 経理・事務を担当しています黒田です。

 最近、茶道のお稽古中に「ここで茶杓を清めるのだったかな?」や「袱紗はこのさばき方で合っていたかな?」と、今までさほど疑問にもたなかった動作にふと止まってしまうことがあります。その時、先生はいつも「それは色んなお点前を習うことにより多くの知識がついてきたという証拠なのよ。」と仰って下さります。

 「稽古とは、一より習い十を知り、十よりかえる、もとのその一」(千利休)

 どのようなお稽古でも、初めて一を習う時と、十まで習って元の一に戻って再度一を習う時とでは、人の心は変わっているように思います。ある程度まで進み、習い始めた頃のお点前に戻ることがありますが、「だから、このように蓋を置くのだ」や「だから、このようなお辞儀の仕方をするんだ」と一つ一つの動作に意味があることに納得させられることがよくあります。

 稽古を重ね、習ったことはすべてを知り尽くしたつもりで満足してしまったら、それ以上進歩をすることは難しくなるように思います。仕事においても、たとえば作成した書類などを「これで良い」と思った時点で、もっと良くなるだろうということが頭に浮かんでこなくなりますよね。現状に満足すればそれまでで、いつも初心を忘れずに行動することが進歩させてくれ、その事の奥深さを知るきっかけにもなる。初心を忘れないことの大切さを改めて感じました。